中1の2学期を過ぎると、僕の中学時代で最も思い出深いときがやってきます。
といっても勉強のことではなく、通っていたスイミングスクールの話です。
実はこのとき、僕はタイムが伸び悩んでいました。
当時、僕は身長173cm体重70kgと比較的恵まれた体格だったのですが、50m自由形のタイムは35秒台と同年代の他の選手と比べると、結構遅い方でした。
なんなら、女子選手よりもタイムが遅いぐらいでした。
なんとかタイムを伸ばしたいと思いながらも、伸びない、そんな状態が続いていました。
とにかく、何としてでもベストを出そうと、年明けから筋トレを始めました。
筋トレと言っても、ベンチプレスとか、重りを使うものではなく、腕立て伏せや腹筋など道具を使わなくてもできるようなものです。
中学校へは自転車で通っていたので、自転車に乗っている間も坂道でペダルを思い切りこぐなど、できるだけのトレーニングをしました。
毎日、毎日、1日たりとも休まずに続けました。
勉強よりも、必死でした(笑)
トレーニング中は、学校の音楽の授業で出てきた「フェニックス」という曲を口ずさんでいました。
小学校の頃は、同世代の選手と比べても速い方だったので、その頃の力を取り戻すぞ、と自分に言い聞かせていました。
1か月後、月末のタイムトライアルのとき、すぐに結果は出ました。
毎週プールに練習しに行ってはいたのですが、筋トレで自分の力がついてきたことを実感していました。
泳いでいるときの身体の力の入り方とか、感覚がまるで違い、推進力が飛躍的に大きくなっていると感じたのです。
そして、タイムトライアルの結果、1つ年上の女子選手に勝つことができました。
この人には、その前の月のタイムトライアルでは負けて、その悔しさがきっかけで、筋トレを始めようと決意したのです。
1か月間、毎日のように筋トレをする中で、気がつくと、その人のことを考えていました。
そう、僕はその人のことが「好き」になってしまっていたんです。
練習でも一緒になることはあったんですが、いつも優しく僕に接してくれて、
年上の女性の包容力のようなものに夢中になっていました。
しかし、だからこそ水泳では負けたくない、という僕の闘志にも火をつけてくれた存在でもあります。
翌月以降も筋トレを続け、結局3か月で50m自由形のタイムが4秒以上縮まりました。
同世代ビリ争いだった僕が、一気にトップ争いに躍り出たのです。
ところで、勉強の方はどうなっているのかということですが、
塾の実力テストでは、上位をキープしていました。
勉強中も上に書いた好きな人のことを考えてしまってはいたのですが、
僕にとってはむしろ良いスパイスでした。
そんなこんなで中2を迎えます。